物語 第七十五回

招安ならず


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 各地で騒ぎを起こしている梁山泊。討伐の声もあがったが、高官の中にも梁山泊の行動のを理解する者がいて、御史大夫の崔靖は、梁山泊の罪を許して招安し、辺境の守備を任せてはどうかと徽宗皇帝の前で進言した。徽宗皇帝もそれに納得し、太尉の陳宗善に命じて詔書と御酒を用意させ、招安の準備を整えさせた。
 梁山泊を招安すると聞いて、招安に反対派の蔡京と高俅はそれぞれの部下、張幹辨と李虞候を陳太尉に同行させ、裏で招安をうまく運ばせないよう手をまわした。

 陳太尉一行は開封を出発して数日、済州に到着すると、知府の張叔夜に出迎えられた。日頃から梁山泊の内情を知る張叔夜は、うまく招安が運ぶように助言したが、張幹辨と李虞候の二人が口をはさむので、それ以上は何も言えなかった。
 招安の知らせをうけた梁山泊では、宋江の指示で、山寨内で招安を受ける準備を整えた。陳太尉一行の到着を知ると、裴宣・蕭譲・呂方・郭盛に命じて湖を渡って出迎えさせた。張幹辨は宋江が自ら出迎えない事に腹を立て罵った。裴宣達は怒りが込みあげたが、招安の事を考え耐え忍んだ。

 陳太尉の一行は阮小七の指揮する船三艘にそれぞれ乗り込み、湖へと漕ぎだした。もとより役人嫌いの阮小七には、招安だろうが太尉だろうが、なんとも思わず、漕ぎ手達に歌を歌わせ、船には水が漏れると慌てる嫌がらせ。陳太尉一行は船が沈むと聞いて積んである詔書や御酒の事など忘れて、すぐに別の船へと飛び移った。
 陳太尉達を乗せた船が金沙灘へと向かうと、阮小七は御酒の味が気になり、毒味が必要だと言ってひと瓶呑んでみると、つい続けて四瓶も空けてしまう。船には獨酒が積んであったので、漕ぎ手達を呼びあつめ、御酒十瓶すべて飲み干し、かわりに獨酒をいれて元通り封をして急いで金沙灘へと向かった。

 宋江達は陳太尉一行を金沙灘で出迎えて、忠義堂へと案内した。その間もずっと李虞候と張幹辨のふたりはいばりちらしていた。
 陳太尉の一行が忠義堂へと到着すると、詔書と御酒を運びこんだ。堂内に列ぶ梁山泊の頭領達だが、李逵の姿だけが見えない。宋江達百七人は、拝して詔書の内容に耳を傾けた。
 蕭譲が詔書を読み始めたが、内容は、すぐに武器を棄てて投降すれば、罪を許してやろうと、梁山泊をばかにする事ばかり書いてありったので、読み終わった時の皆の表情には怒りしかなかった。

 堂内が騒然とする中、突然天井から李逵が飛び下りて、詔書を引き裂いてしまった。怒りの表情で李逵は陳太尉に詰め寄ったが、宋江に阻まれたので、側にいた李虞候になぐりかかった。
 宋江達は慌てて李逵をなだめ、堂外へと連れ出したが、そのあと封を開けた御酒の中身が獨酒だったため、魯智深、武松、劉唐、史進、穆弘ら短気者はもう我慢の限界、武器を手にとると陳大尉らに迫っていった。
 宋江は慌てて魯智深達を止めたものの、他の頭領達も暴れだそうとしている。すでに水軍の頭領達は忠義堂から去ってしまい、招安は完全に失敗となった。宋江は陳太尉をかばうようにして、一行を金沙灘まで送りとどけた。

 宋江は別れ際、陳太尉に招安は望んでいるが、少し我々の事を理解してほしいと告げ無礼を詫び、一行を船で送らせた。忠義堂に戻った宋江に呉用は、また招安の機会はある、やがて来るだろう大きな戦いの準備を整えるのが先決だと言う。
 陳太尉一行は急いで開封へ戻ると、梁山泊での出来事を蔡京へ報告した。翌朝、蔡京は徽宗皇帝の前に進みでて、梁山泊のとった無礼な行動にて招安が失敗した事を報告すると、徽宗皇帝は招安を言い出した崔靖を処罰し、梁山泊討伐軍の派遣を命じた。指揮する者はと訪ねると、これに童貫が名乗り出た。


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