物語 第七十二回

噂人李師師


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 宋江は呉用達が止めるのもきかず、東京へと灯篭見物に向かった。同行するのは、柴進・朱仝・魯智深・武松・劉唐・李逵・史進・穆弘・燕青。李逵はどうしても言う事を聞かず強引について行く事となった。
 宋江は安道全の医薬によって入墨を消し、それぞれ変装をして下山した。一行は旅をかさね、開封を目前にすると、まず柴進と燕青に開封城内の様子をさぐらせた。
 城内の人々は皆、元宵節の祝いでにぎわっていた。きちんとした身なりの柴進と燕青を誰も疑う者などなかった。

 柴進と燕青は街の様子を探っていると、内裏へ出入りしている役人達が皆頭巾に花を挿しているのを見つけた。燕青はひとりの役人をうまくだまして酒屋に連れ込み話しを聞き出すと、酒を飲ませて酔い潰し燕青に見はらせて、柴進は役人の着衣を借りて内裏へ入った。
 服装と頭巾の花のおかげで、柴進はなんなく内裏へと入りこんだ。歩きまわると、皇帝が使う部屋、叡思殿の額が目に付いた。柴進は見張りの目をかいくぐり、中へと忍び込んだ。
 中には皇帝が使う机があり、立派な文具が並んでいる。柴進はふと衝立ての後ろに回ってみると、山東宋江の名が書かれていた。

 皇帝は四大叛徒のひとつに宋江の名をあげていた。柴進は宋江に報告するため、皇帝の直筆で書かれた山東宋江の文字を切り取り持ち去った。柴進は長いは無用と、内裏を出て燕青のところへと戻った。
 まだ役人は酔いつぶれているので、元のように着衣を着せ、柴進と燕青は城外へでて宋江に報告した。宋江は皇帝を悩ませている事を嘆いた。
 翌日、城内では叡思殿に賊が入ったと大騒ぎだったので、この日、宋江は宿に身を潜めて、翌日陽が沈むのを待って城内へと入った。李逵は宿に残って留守番となった。

 上元節前日とあって、祭りは盛大に行われて城内は多くの人で溢れて居た。人混みの中にまぎれ開封見物していた宋江はふと皇帝の噂の人、李師師の家が目に止まった。皇帝は地下道を掘り、李師師の家へ通っていると聞いた事のある宋江は、李師師から皇帝に梁山泊の本当の姿を伝えてもらえないかと、燕青に秘かに命じ、李師師の家へ向かわせた。
 燕青は宋江の意志を知ると、李師師の家を訪問し、持参した金品と巧みな話術で李師師との対面にこぎつけた。家の女将は金に目がくらみ、燕青の事をすっかり信用し、宋江の事を金持ちの旦那と紹介すると、李師師は会う事を了解した。

 燕青は李師師に取次いだ事を宋江に伝えると、柴進と戴宗をつれ、燕青の後について中へと入った。燕青は宋江・柴進・戴宗をそれぞれ紹介し、土産物を渡すと李師師は喜び、奥へと招かれた。だが、対面もつかの間、ちょうど皇帝が地下道を通ってやってきたとのこと。李師師から明日また来てくれと言われると、宋江達は外へ出、祭りを見物して史進・穆弘と合流し城外の宿へと戻った。
 宿でひとり留守番の李逵が灯篭祭りに行きたいといので、明日の上元節の祭りを見終えたら梁山泊へ戻る事にした。

 翌日、宋江、柴進・戴宗・李逵・史進・穆弘・燕青は人混みに紛れて城内へ入った。史進・穆弘を街中で待機させ、五人は李師師の家を訪ねた。燕青が土産物を持参し李師師に会う手筈を整えると、戴宗と李逵は門の前にて待機。宋江・柴進・燕青は李師師の用意した酒宴へと招待された。
 酒が一巡したころ、宋江は余興として詞を書いて、李師師に見せた。詞の内容は、罪を許してもい国へ帰順できるなら、命をはって国のため働きたいと、今の気持ちを書いたものだった。しかし、李師師には詞の意味を理解できず、考えていると皇帝がお忍びでやって来たと知らせが入った。宋江達は席を外して様子を伺った。

 その頃外では、李逵が問題を起こしていた。李逵は宋江達が中で女と酒を飲んでる事に腹をたて、皇帝の護衛に来ていた役人と争いを起こし、周囲は大騒ぎになっていた。
 外の騒ぎを聞きつけ、宋江達は慌てて外に出てたが、すでに大暴れ出している李逵を止める事ができないので、皇帝への直訴は断念し、李逵の事は燕青にまかせて、城外へと逃れた。
 すぐに開封の人々を巻き込んでの大騒ぎとなり、李逵は李師師の家に火をつけ、兵士達に襲いかかり、燕青も武器を持って戦いながら、史進と穆弘と合流し城門へと向かった。外から朱仝・魯智深・武松・劉唐が応援にかけつけ、皆が力をあわせて城外へと脱出した。

 城外には事前に呉用から命令を受け下山していた関勝ら五虎将が手下を引き連れて近くで待機していた。禁軍を率いてきた高俅だが、梁山泊の恐ろしさに怯え、城を出て戦おうとはせず門を固く閉じて城を守った。
 無事脱出できた宋江達は関勝らと合流し、梁山泊へと戻った。だが、李逵の姿だけが見えないので燕青に命じて、李逵をさがして連れ戻すように命じた。
 李逵はというと、一度宿にもどって斧を取ると再び城内へ踏み込もうとしたが、門は固く閉ざされ、燕青に止められた。


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