物語 第六十九回

風流双鎗将


<前解説目次次>

 寨主を決定する宋江の案とは、宋江と盧俊義がそれぞれ頭領と手下を率いて、東平府と東昌府をどちらが先に攻め滅ぼすかで、寨主を決めるという方法だった。盧俊義も納得したため裴宣によりクジが作られ、宋江が東平府攻めを引き、盧俊義が東昌府攻めを引いた。
 宋江は林冲・花栄・史進・徐寧・韓滔、をはじめとする、全二十八人の頭領と総勢一万の手下。盧俊義は軍師の呉用・公孫勝・関勝・呼延灼をはじめとする、全二十八人の頭領と総勢一万の手下を引き連れ下山した。残りの頭領は山寨の守りを固めた。
 宋江・盧俊義の隊は安山鎮まで進み、それぞれ東平府と東昌府の道を別れて進んだ。

 東平府攻めの宋江は、都監の董平を優れた人物と評価していたので、戦いの前にまず挑戦状を送りつける事にした。王定六と郁保四が名乗り出たので、二人に書状をもたせて東平府へ向かわせた。
 梁山泊が攻めて来ると知り、役所にて対策を協議していた太守の程万里と董平の元に梁山泊からの使者が来た。董平は、食料を借りたいと書かれている書状を見るなり破り棄て、王定六と郁保四を棒打ちにして帰らせた。戻ってきた王定六と郁保四は涙を流しながら宋江に訴えると、董平の態度に怒った宋江は二人に傷の手当てをさせ山寨へ送り帰すと、東平府攻めにうつった。

 史進は以前、東平府にいたころ、知り合いになった李瑞蘭という妓女がいるので城内に潜りこみ、ころ合いをみて、火をかけ内乱を起こすと言うと、宋江も賛成して合図とともに攻撃を開始する作戦となった。史進は単身城内へ向かった。
 史進は李瑞蘭に会うと金を渡し、梁山泊の頭領となっていて、東平府を攻め滅ぼすためにやって来た事を告げた。戦いが終われば、ともに山に登り楽な暮らしをさせると約束したが、李瑞蘭が店の主人に相談すると、主人がすぐに役所に訴え出て、史進を捕えさせた。捕らえられた史進は拷問にあっても固く口を閉ざしていたので、枷をつけて牢へと入れられた。

 宋江は城内に何も動きがないのを不安に思い、呉用の智恵を借りるため、史進が妓女を頼りに城内へ潜り込んだ事を伝えた。手紙を読んだ呉用は、妓女を信用して物事を頼むのは浅はかだと、慌てて史進の過ちを指摘した。
 東昌府から急いで呉用がやってきた。呉用は顧大嫂を呼び出し、乞食姿に変装させて、昔史進に世話になった者だと言って牢へ入り、史進に日時を合わせて牢内で暴れだす様伝えよ、と指示すると再び東昌府へと戻って行った。

 乞食姿となった顧大嫂、難民に紛れてうまく城内へ潜り込む事に成功すると、史進の入れられている牢を訪れ、牢番に向かって、昔世話になった事があるから、史進にひと目会い差し入れをしたいと頼むと、女だからいいだろとうと、史進に会うことが許された。顧大嫂は史進に差し入れを渡し、みそかになったら暴れる様に、とだけ伝え牢を出た。
 数日後、史進は牢番に聞いて、みそかになったと知ると、用をたす途中で牢番を殺し、囚人を解放して牢内で暴れだした。だが牢番の勘違いで、その日はみそかの一日前だった。外では、まだ梁山泊軍が動きだしてないので、史進は牢内に篭って救出がやってくるのを待った。

 牢で暴動が起きた事を聞いた程万里は鎮圧を命じるとともに、董平に出撃を命じた。城外に布陣した梁山泊軍からは韓滔が進みでた。棗木槊を巧みに扱い董平に立ち向かったものの、董平の双鎗の前には防戦一方となり、徐寧と交替した。鎗の名手の徐寧だが、董平との腕は互角で勝負はつかない。
 宋江は董平を取り囲んで捕らえるよう命令を出したが、董平は戦うほどに勢いを増して重囲を破り、血路を開いて城へと退いた。この日は戦いを終え、それぞれ守りを固めた。宋江は力で東平府を落とすのが難しいと知ると、策を用いて東平を捕らえようと計略をたてた。

 以前から董平は仲人を介して程万里の娘に縁談を持ちかけていたが、いつもいい返事が返ってこない。この日も程万里に頼んでみたものの、梁山泊軍を追い返してから考えようと言う。上手くあしらわれている事に董平は納得いかないまま、翌日の戦いに挑んだ。
 宋江は董平が現れたのを見ると、林冲・花栄に戦わせたが、すぐ負けたふりをして陣を乱して逃げ出した。宋江めがけて街道をひたすら追いかけてくる董平。計略通り事は運び、あらかじめ左右に伏せていた王英・扈三娘、張青・孫二娘ふた組の夫婦の罠によって、勢い良く向かってくる董平を落馬させ、捕らえる事に成功した。

 宋江の前に連れ出された董平、死を覚悟していたが、宋江に縄を解かれ、今後は梁山泊のために力を発揮してほしいと仲間入りを勧められた。おどろいた董平だが、日頃から程万里には不満を抱いていたため、宋江の説得に応じ、仲間入りする事となった。
 董平は仲間入りの手見上げとして、城門を開けさせ、東平府を攻め落とす手引きをする事を約束した。董平は元通り武器を手にし、宋江達は後から続いた。董平が城門を開けさせると、好漢達が次々と城へ入り、史進を牢から救出した。続いて役所を襲い程万里一家を皆殺しして、董平は程万里の娘を連れ去った。

 史進は裏切られた怨みを晴らすため、李瑞蘭の一家を皆殺した。宋江は東平府を攻め滅ぼすと、食料の一部を貧しい民に分け与え、残った食料と金品を阮兄弟に命じて梁山泊へ運ばせた。
 それぞれが梁山泊へと凱旋途中、安山鎮まで戻ると、まだ盧俊義が東昌府攻めに苦戦していると白勝から連絡をうけた。戦況を聞くと、宋江は梁山泊へ戻らず東昌府へ向かう事を決めた。


<前解説目次次>