
盧俊義を仲間に入れるため呉用は北京へ行く事となった。どうしてもついて行くという李逵をともにして呉用は易者に扮し、李逵を口のきけない召使いに仕立て、北京へ入った。
宋江からも道中、問題を起こさないようにと言われていた李逵だが、何度かもめ事を起こした。そのたび呉用がうまくとりなし、大きな災いは起きずにすんだ。
盧俊義の屋敷へと向かうと、李逵には見料一両と書いた旗を持たせ、門の前で易者の口上を上げていると、呉用の思惑通り、気付いた盧俊義が呉用に興味をもち、二人を屋敷に招き入れた。
盧俊義に対面した呉用は張用と名乗り、さっそく盧俊義の運勢を占った。呉用はわざと顔をしかめ盧俊義にむかって、百日以内に剣難にあうというと告げた。盧俊義は占いの結果を聞き、ばかげていると最初は笑っていたものの、呉用は機嫌を悪くし金を返して急いで帰ろうとするのを見て、あわてて呉用をなだめ、剣難から逃れるにはどうすればいいか訪ねた。
呉用の描いていた策どおり事は運び、再び占いをたてて見せ、南東へ千里の地に逃れれば難をさける事ができるとだけ告げ、盧俊義にあてた四句の詩を壁に書かせて去っていった。
その後も盧俊義は占いの事が気にかかり、ついに家族から使用人まで全てを集め、難から避けるために商いと見物を兼ねて、泰山へ行くと決意を表した。
話しを聞いた盧俊義の妻や都管の李固、腹心の燕青は驚いて行かせぬ様に説得した。燕青は人々から浪子と呼ばれ、歌や楽器、舞や方言、武芸にいたるまであらゆる才能をそなえ、とくに弩と相撲にかけては並ぶ者がなかった。怪しく思った燕青、易者の言う事など間に受けてはいけないと止めたが盧俊義の考えは変らなかった。
いやがる李固に指揮させて、十台の荷車に売り物の品々を積み、留守を燕青にまかせて出発した。
数日して梁山泊が近いと聞いた盧俊義、賊が荷物を狙ってきたら返り打ちにし、捕えて都へ送ってやろうと、荷車には賊を挑発する旗をかかげ、先へと道を進んだ。
李固をはじめ使用人たちは梁山泊と聞いただけで皆震え上がっていたが、朴刀をにぎる盧俊義は堂々とかまえ、怯えている者に先を急ぐよう促した。
一行が薄暗い森へはいったとき、口笛を合図に山賊達が姿を現し、盧俊義の荷車を取り囲んだ。賊の襲来に驚いて車を止め逃げ場をさがす者達の中、ひとり盧俊義だけは朴刀を構え賊達を見据えていた。
まっさきに盧俊義の前に現れたのは二梃斧を振り回し、おとなしく降参に仲間にはいれと叫ぶ李逵。その見覚えのある顔に驚き、かつ怒りをあらわした盧俊義は朴刀を振り回して立ち向かった。
李逵は三合ほど渡り合ったところで、背を向けて逃げ出した。盧俊義が追いかけると、叫び声とともに森から禅杖をもった和尚が現れた、花和尚魯智深である。盧俊義は怒って朴刀を振り上げ魯智深に向かっていったが、魯智深も三合ほど渡り合っただけで逃げ去った。続いて武松が二振りの刀を持って盧俊義の前に立ちはだかったが、これも三合ほど刀を交えただけて逃げていった。
続けて三人に打ち勝ったと思っていた盧俊義の前に、朴刀をもった劉唐が現れ、続いて穆弘、背後からは李応が現れ囲んだ。怯む事なく三人に立ち向かった盧俊義と劉唐・穆弘・李応は数合渡り合い、合図が聞こえるとともに去って行った。
さすがに疲れがみえはじめた盧俊義、ふと荷車に目を向けると、賊達がそっくり荷車を奪って運んでいた。慌てて駆け戻ろうとすると、朱仝と雷横が立ちはだかり斬りかかって来たが、またも数合渡り合っただけで去っていった。盧俊義が追いかけて行くと、高台の上に替天行道と書かれた大旗がなびいていた。
盧俊義を見下ろしているのは宋江・呉用・公孫勝の三人、呉用は盧俊義にたいして無礼をわび、降参し仲間入りを勧めたが、盧俊義には怒りがこみ上がってくるだけだった。
盧俊義は罵りながら斬りかかって行ったが、三人の後方から花栄が弓を引き絞り盧俊義を狙った。慌てて飛んでくる矢を交わした盧俊義だが、帽子の房を射落とされ、もとの場所へと逃げ出す。と、そこには林冲・秦明・呼延灼・徐寧の率いる隊が待ち構えていた。いくら棒の達人とはいえ大軍には立ち向かえず、盧俊義は小道へと一人敗走した。
しばらくして盧俊義が辿り着いた場所は見渡すがきり蘆の生い茂る湖だった。逃げ場を失ったかと立ちつくしていると、一艘の小船が現れた。乗っているのは一人の漁師で、心配そうに盧俊義に声をかけた。
盧俊義は漁師にたのんで船にのせてもらうと、安全な場所へ送ってくれるよう頼んだ。盧俊義を乗せ、漁師が湖へと船を漕ぎ出すと、別の漁師の操る一艘の船が唄を歌いながら近寄ってきた。盧俊義は、その唄に不信をいだき様子を伺っていると、間もなく別の一艘が現れ、そしてまた別の一艘が現れた。
湖面に並んだ三艘の船は盧俊義の乗る船を取り囲もうとした。慌てて岸へ戻るように漁師に頼んだが、この漁師こそ梁山泊水軍頭領の李俊で、名を名乗ると降参するよう勧めた。あとから現れた三艘の船に乗はそれぞれ阮小二・阮小五・阮小七が乗っていた。
泳ぎが得意ではなく、もはや逃げ道はないと李俊に斬り掛かったが、李俊はすばやく水中へと逃げこみ、盧俊義の朴刀は空を斬った。そこに現れたのは張順、かるく船を揺らすとバランスをくずした盧俊義は水中へと投げ出された。
