物語 第五十四回

高唐州落城


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 羅真人は公孫勝に五雷天罡の正法をおしえるとともに、二句の言葉を告げた。公孫勝は老母の面倒をみてもらうと言われて安心し、正法を学び取ると師に礼を言い、下山の準備をした公孫勝は母に別れを言い、戴宗・李逵とともに二仙山を後にした。
 戴宗はひと足先に高唐州に行き、宋江に報告するとともに戦の状況を探る事にした。公孫勝と李逵のふたりは数日して武岡鎮に入り休憩をとった。
 李逵が食べ物を求めに街中にはいると、大通りで鉄瓜鎚を使って見せ物をしている人物にであった。三十斤ほどの重さの鉄槌を軽く扱うのをみて、ただ者ではないと悟った李逵は、見物の中から飛び出して鉄瓜鎚を奪いとると見事に扱ってみせた。

 身体中にあばたのあるこの鉄瓜鎚を使う男は、金銭豹子の湯隆といい、ここ武岡鎮で小さな鍛冶屋を営んでいる。互いに名乗りあうと、李逵はちょうど梁山泊で鍛冶屋を探していたところだったので仲間に誘った。湯隆は李逵の武勇を噂に聞いていたので、梁山泊の仲間に加わる事を約束し、その場で義兄弟となった。
 湯隆を連れ、食べ物を買って戻ると、公孫勝は李逵が帰ってくるのが遅いので苛立っていたが、湯隆と出会い義兄弟になったと紹介すると喜んで三人そろい高唐州をめざした。
 数日して戴宗が引き返してきて、高唐州の状況を報告する。高廉は矢傷も癒え、梁山泊軍と数回対戦を試みたが、宋江は守りに徹してひたすら公孫勝の到着を待っているのであった。

 そして、四人が高唐州に到着すると、梁山泊軍に公孫勝が戻って来たと聞き、おのずと好漢達の志気はあがる。公孫勝の指示の元、すぐに高唐州攻めの準備にとりかかった。
 敵襲と聞き、高廉はすぐに城門を開らかせ、兵士とともに三百の飛天神兵を率いて討って出た。対する梁山泊軍は中央に宋江・呉用・公孫勝、右には林冲・孫立・飛・馬麟・郭盛を配し、左には花栄・秦明・朱仝・欧鵬・呂方がそれぞれ手下を引き連れて陣形を整えた。
 高廉は勇ましく梁山泊軍に向かって勝負を挑むと、梁山泊軍からは花栄が飛び出した。それを見た高唐州の統制官の薛元輝が両刀をかかげ、花栄に向かっていった。

 槍と両刀、数合交えると花栄は負けたふりをして自陣へと引き返した。薛元輝は敵はひるんだと思い追いかけたが、花栄はすでに槍を弓に持ち替えており、振り向くと同時に矢を放ち、薛元輝を射殺した。
 怒った高廉は宝剣を抜くと呪文を唱え、得意の妖術で梁山泊軍に猛獣のたぐいを呼び出した。辺りは薄暗くなり怪しい風が梁山泊軍の方に向かってくるとともに、猛獣・毒虫が襲いかかってきた。
 はやくも乱れはじめた梁山泊軍の中、ひとり公孫勝は冷静に判断し、宝剣を抜き呪文を唱えると、風はやみ明るさを取り戻すと、猛獣のたぐいは獣の形に切り抜いた紙切れになってヒラヒラと地面に落ちた。

   宋江は勢いに乗じて突撃命令を出すと、梁山泊軍は出会う敵を次々と倒した。妖術が見破られたと知って不利と悟り、高廉は退却命令をだし城へ逃げ帰ると城門を固く閉じて守った。
 翌日、梁山泊軍は厳しく城攻めを行ったが、落とす事はできずに退いた。公孫勝は高廉が夜襲にくる事を予測して、まず陣を空にして四方に伏兵を置き、宋江らは高地に陣を敷いた。
 予想通り高廉は闇夜にまぎれ、妖術を駆使し砂を巻き上げ風を起こし三百の神兵とともに率いて梁山泊軍の陣を襲った。高地で見ていた公孫勝は宝剣を抜くと呪文を唱え、高廉の術を消し去ると陣に向かって落雷を起こした。

 高廉は人の気配がなく、計略だと気付いた時にはすでに遅く、雷鳴が轟きとともに梁山泊軍の伏兵に囲まれ逃げ場を失った。必死で血路をひらいた高廉は取り逃がしたものの、三百いた飛天神兵のほとんどは林冲達の活躍によってほぼ壊滅した。
 城へと戻った高廉は、多くの兵士を失ったため、東昌府と寇州に援軍を出すように手紙を書いて、二人の統制官に届ける様命じた。
 城を囲んでいた梁山泊軍は敵の密偵を捕らえようとしたが、援軍を呼ぶのだろとうと呉用は見逃す様指示し、敵の策略をこちらの策略に利用する事を思いつき、梁山泊から新たな軍勢を呼びよせた。

 そして数日間、高廉は城を出て攻めようとはせず、ずっと城を守り援軍の到着をまっていた。すると、梁山泊軍がにわかに慌ただしくなり、城壁から見ると土ぼこりが舞い上がり戦がはじまった。すると宋江がわずか数人をつれて逃げているのが見えた。
 高廉は援軍が来たと思い、すぐに城門を開いてわずかな兵とともに討って出た。だが、これは呉用の策略で梁山泊軍が敵の襲撃を受けたようにみせかけた芝居だった。
 高廉が城を出たのを見て、手薄となった城を奪い取った。高廉は宋江を捕らえようと追いかけたが、左右から呂方と郭盛の伏兵にあった。辺りを見回すと城は梁山泊軍に占領され、援軍の姿など見えない。

 計られたと気付いたときにはすでに遅く、すべての兵士を失い、前を孫立、後を朱仝に阻まれ逃げ場を失っっていた。

 高廉は馬を棄てると、呪文を唱えて黒雲を呼び寄せると飛び乗って空へと逃げだした。そこに現れた公孫勝、宝剣をかざし呪文をとなえると、高廉の雲は消え去り、まっ逆さまに地面に落ちた。もはや生き延びる手段は無く、駆け付けた雷横がとどめをさし高廉は死んだ。
 好漢達の活躍で高唐州城は落城し、宋江は城内にはいると民に危害をあたえない様指示し、柴進を探す様命じた。だが牢には柴進のすがただけが見当たらない。

 牢番を探して問いつめると、その中のひとりが柴進を古井戸に匿っていると聞き、急いで李逵をカゴに乗せ綱を結び付けて井戸の底まで降ろして探らせると、ぐったりした柴進をみつけだし引き上げた。全員が柴進に気をとられ、井戸の底にいる李逵の事を忘れていた。やっとの事で引き上げられた李逵、またもやひどい目にあわされたと怒った。
 傷を負い息が弱くなってはいたが、急いで医者を呼び寄せ手当てをすると、柴進は次第に生気を取り戻した。高廉が民衆から搾り取っていた金品や食料、柴皇城から奪った品々を取り返すと、一部を民に分け与え、柴進とその親族とともに梁山泊へ凱旋した。

 東昌府と寇州の援軍も時すでに遅く、高唐州が梁山泊の軍勢によって落城し、従兄弟の高廉が殺されたと聞かされた高俅。皇帝の前にて、高唐州が梁山泊の山賊によって襲われた事を報告する。梁山泊の威勢におどろいた皇帝は高俅の推薦するまま、開国当時活躍した呼延賛の子孫である双鞭の呼延灼に、梁山泊討伐を命じる事とした。
 皇帝からの勅命を受け、汝寧州から開封に呼び寄せられた呼延灼は皇帝から踢雪烏騅という名馬を賜ると、高俅とともに梁山泊討伐を協議した。呼延灼は戦略をたて、副将に韓滔、彭玘の二人を推薦すると、それぞれ兵士を集め梁山泊討伐軍を編成した。


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