
五台山を下りた魯智深は錫杖と戒刀が仕上がるのをまって開封へと旅たった。手には水魔仕立て六十二斤の一杖、見事な出来映えであった。
数日間旅僧の魯智深、途中酒がなくては足取りが重く、すでに智真長老からもらった路銀を使い果たしていた。今夜のねぐらを探そうと、辿り着いた地は青州のちいさな村、桃花村と呼ばれる村があった。
魯智深が一晩の宿を借りようとしたが、出て来た下男はそっけなく断ったので、魯智深は怒って暴れだそうとした。すると老主人が出てきて今宵は取り込んでいるので、部屋から一歩もでない様にと言い、泊めてもらう事となった。
魯智深が訳をたずねると、ここ劉家に今宵の桃花山の頭目がやってきて娘を奪いにくるという。おだやかではないと、詳しく訳を聞くと、桃花山には二人の頭目がいて、数百人の手下を率いて付近の村を襲い、略奪を繰り返している。官軍も手が出せない。その頭目の一人が、娘にひとめ惚れし気に入り、嫁に差し出せといい、今宵祝言をあげると言うのである。
それを知った魯智深。賊を説き伏せると豪語すると、酒と食事をとり、娘の部屋に入って身を潜め、頭目がやってくるのをまった。
しばらくして桃花山の盗賊が現われた。手下を待たせ、ひとり頭目は花嫁を迎える為、劉老人に案内されて部屋に入り込んだ。明かりを消した部屋の中では魯智深が裸になって寝台に横たわっている、花嫁に化けた魯智深、頭目が手さぐりでやってきたところを引き倒し、馬乗りになって殴りつけた。
びっくりした頭目は慌てて逃げ出し、桃花山に逃げ変えると、すぐに一の頭目に報告した。劉老人は驚くばかり。魯智深は以前堤轄をしていた事を話し、盗賊が来ても村を守ってやると言った。
弟分が痛めつけられたと聞き、一の頭目はすぐ桃花村にむかった。知らせをうけた魯智深は錫杖をとり、賊が来るのを待った。頭目は魯智深に撃ちかかり、数合わたりあった。
声に聞き覚えがある、名を名のれと言うと、魯智深は元堤轄の魯達だと名乗ると、おどろいて馬から下りた。この頭目は渭州で膏薬売りをしていた李忠であった。魯智深の坊主姿に驚いたが、提轄魯達の顔は忘れる事はなく、李忠は渭州以来の再会となった。
李忠は渭州にて魯達が鄭を殴り殺しの一件にて役人の手が回ってきた史進と李忠。魯達と酒を酌み交わしていたと店の者からの通報があったのだ問題がおきると厄介なので史進と相談し渭州をでた。
その後、青州に流れ付き、桃花山に住みつく盗賊、小覇王周通を打ち負かし首領の座におさまったのである。
柳老人は魯智深と桃花山の頭目が顔見知りだとしるとうろたえたが、魯智深に従うままに、劉老人は山寨に登った。周通は李忠と坊主が親しくしているのを見て驚いたが、李忠がよく話していた堤轄の魯達だと聞かされると、納得するのであった。劉老人に魯智深は李忠と周通に、二度と桃花村に危害を加えない事を約束させた。入れる事はなかった。
それから数日間、山寨で過ごしたが、李忠と周通と合わず、餞別も自分達の財産からは出さず、旅人を襲って稼いでくるありさま。気に入らない魯智深は、山寨にある金目の物を懐にいれ、見つからない様に山寨から立ち去った。
