物語 第四十八回

一丈青登場


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 退却を命じた宋江、後陣の李俊からすでに敵に囲まれていると聞き驚く。とりあえず大きい道を選んで退却するように宋江は命令する。だが、本道を知らない梁山泊軍は行き止まりの道を進み、伏兵や罠にかかり、多くの死傷者をだした。
 梁山泊軍は指揮が乱れ行き場をなくしていたところへ、密偵に出ていた石秀が戻ってきた。本道を進む方法は必ず白楊の木のところを曲がると聞き、再び退却を始めた。だが、追手の松明はなおも数も増してきている様に見えた。石秀の言う通り、目印の赤提灯を花栄が射落とすと祝家荘の指揮系統が乱れたので、梁山泊軍は無事村の外に出る事ができた。

 宋江は頭領を点呼してみると、黄信の姿がみえない。退却の途中、道ばたから撓鈎が飛び出し、捕らえられたという。
 宋江はまたひとり捕われの身となった黄信の無事を案じつつ、どう攻略すればいいか考えていた。楊雄は李応に相談してはどうかというと、早速宋江は数人を連れ、李家荘の李応を尋ねた。
 だが、李応は関わりあいを避け、杜興だけを使いにたたせ、矢傷の療養中だといい面会を断った。杜興は楊雄のために祝家荘と扈家荘について説明し、李家荘は中立をたもつ事を伝えて帰っていった。
 第二戦は杜興から祝家荘を落とすには表門と裏門を同時に攻めなければならないという情報を元に、李俊・張兄弟たちに掘りを渡り表門を攻めさせる様にし、他の頭領達に応援させる手筈を整えると、宋江がみずから先陣となり、欧鵬・鄧飛・馬麟・王英の隊を率いて祝家荘を迂回し裏門から攻める事となった。
 表も裏も固く門を閉ざしているため容易に攻める事ができない。表門では掘を渡って攻めているが、城壁の上から矢が雨の様に降ってくるので、攻めあぐんていた。裏門では、宋江が到着したちょうどそのとき西の扈家荘から日月の両刀を構えた扈三娘が一隊を率いて襲ってきた。扈三娘は祝兄弟の三男祝彪の許嫁であるため、救援にやってきた。

 現れたのが可憐な女将軍と聞いただけで、我れ先にと色好み王英が槍をかまえ向かって行ったが、王英は下心丸出しで扈三娘に討ちかかって行ったため、得意の槍の冴えもにぶっていた。次第に力衰え扈三娘の両刀の前に手も足も出ず、簡単に捕らえられてしまう。欧鵬が助け出そうと鉄槍をかまえて扈三娘に向かって行ったが、わずかに扈三娘にはおよばなかった。
 見かねた鄧飛は、得意の鉄鏈を振り回し扈三娘に向かって行ったが、祝家荘から扈三娘を援護するように、門が開き祝竜が討って出、それを見た馬麟が単騎で祝竜に向かっていったので、鄧飛は宋江を守るために下がった。

 欧鵬・馬麟、ともに苦戦を強いられている。不安気に見守る宋江の横から秦明の一隊が救援に駆けつけた。 敵将とみて狼牙棒を振り回し、雷声を上げて討ちかかっていった秦明は馬麟と代わり祝竜と戦う。 馬麟はなおも王英を救い出そうと前へ出たが、欧鵬との戦いを止めた扈三娘に立ち塞がれ、両刀使い同士の一戦となった。その間に王英は祝家荘へと連れ去られていった。
 続いて祝家荘からは武術師範の欒廷玉が鉄鎚を振り回し出てきた。これに欧鵬があたったが、わざと戦意喪失したかに見せかけた欒廷玉からくり出す鉄鎚が命中し落馬、捕らえられそうになったが危ないところを飛に助けられ後陣へと下がった。

 祝竜は秦明にかなわないとみて逃げ出し、かわって欒廷玉が秦明に討ちかかっていった。二人は数合渡りあうが五分の腕前で勝負はつかず、欒廷玉はわざと伏兵のまちかまえるところに逃げだす。秦明は弟子の黄信が捕らえられた事の怒りで、罠ともしらず欒廷玉を深追いし、草むらに入ったところで馬もろとも捕らえられてしまった。秦明の危機にすばやく鄧飛が救出に駆け付けたが、これも同じように捕らえられてしまった。
 扈三娘と両刀のしのぎ合い中の馬麟だが、二人が捕らえられた事に気付き、宋江の護衛につきながらその場を退く。ここぞとばかりに欒廷玉・扈三娘・祝竜は追いかけ、宋江危うしとなったところで、穆弘・楊雄と石秀・花栄らの三隊が救援に駆け付けたので、宋江はからくも退く事ができた。

 裏門に新手が現れたと知った祝家荘では、祝彪が一隊を率いて討って出てきたので、門前では多くの人馬が死闘を繰りひろげ混戦状態となった。
 戦いは日暮れ近くまで続いたが、兵を失う一方で勝負はつきそうにない。宋江はひとまず全軍へ退却命令を出した。
 命令と同時に頭領達の退却を案じつつ単騎かけまわっていた宋江、その姿を見つけた扈三娘は捕らえてくれようと襲いかかっていった。宋江は馬に鞭打って逃げ出すが、扈三娘は執拗に追い掛けてくる。途中立ちふさがった李逵をかわしたが、つづいて林冲率いる一隊が救援に駆け付け、扈三娘の前に立ちふさがった。

 囲まれ逃げられないと悟った扈三娘は林冲に討ちかかっていった。林冲は蛇矛をふるい、迎え討つ。扈三娘の両刀もなかなかの腕であつたが、さすがに林冲にはかなわず、生け捕りとなった。
 宋江は怪我をしている欧鵬を山寨へ帰すとともに扈三娘を梁山泊への護送を命じた。配下の中には宋江が扈三娘を気に入ったのだと言う者もいた。
 二人の頭領が捕らえられ、欧鵬も怪我を負った事に頭を悩ませていた宋江。その翌日、晁蓋の命令で山寨から呉用が阮兄弟・呂方・郭盛を引き連れて加勢にきた。宋江は戦況を報告するとともに祝家荘を撃ち破る方法はないものかと尋ねた。このとき呉用は、すでに祝家荘を落とす策略を進めていた。


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