物語 第四十七回

祝家荘攻撃


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 楊雄が声をかけた男の名は杜興といい、顔が鬼のような形相をしている事から鬼臉児と呼ばれている。杜興は以前に薊州で楊雄に助けられた事から、この地に移り住んでからも恩人とあがめていた。
 楊雄は祝家荘で起こった出来事と仲間の時遷が捕らえられた事を話すと、杜興は主人に頼んで助けだしてもらえる様に取りはからってみると言う。独竜岡には中央の祝家荘、西の扈家荘、東の李家荘の三家は生死をともにすると誓った間柄であった。杜興は東の李家荘の主人、撲天鵰の李応に目をかけられ、屋敷にて主管を勤めるまでの信用を得た。楊雄と石秀は以前から李応の名を知っていたので、杜興から李応に時遷救出をたのんでもらう事にした。

 李家荘に招かれ、李応と対面する楊雄と石秀。二人は李応と挨拶をかわし、これまでのいきさつを話し、賊として捕えられた時遷の身を助けだしてほしいと頼んだ。李応は杜興が以前世話になった役人だと聞くと、時遷の誤解が説けるように手紙を書かせ、下男に命じて祝家荘に届けさせた。
 独竜岡の三家は生死をともにすると誓いあった仲、すぐに時遷は救出できるだとろうと下男か戻るのをまっていた。、しばらくして手紙を届けた下男は戻って来たが、時遷は一緒ではなかった。下男は祝奉朝に手紙を手渡し、時遷を釈放されるとの返事をもらったが、後からでてきた祝家の三兄弟が時遷は梁山泊の賊として役所へとつき出すのだと言い、追い返されたのだ。

 李応はもう一度杜興に丁寧に自筆でしたためた手紙を託したが、これまた杜興は一人戻ってきた。祝家荘に行くと祝彪に門前で止められ手紙を破られたうえ、李応も梁山泊の賊とグルだと罵り、祝家の下男達に痛めつけられ帰ってきた、と涙を浮かべながら杜興は話した。
 祝家の息子達の行いに腹を立てた李応は自ら鎧に身をかため、背には五本の飛刀をさし、手には渾鉄の点鋼鎗を持ち、馬にまたがると杜興以下、李家荘の下男数十人を引き連れ祝家荘へと向かった。楊雄と石秀は李応をなだめたが聞かないので、朴刀を持ち李応達の後に続いた。

 李応は祝家荘の屋敷の前から大声を上げ、祝家の三兄弟を呼んだ。祝彪は鎧に身を包み、五十騎ほどの手下を引き連れ現れた。李応は祝彪に向かって、お互い助け合い生死をともにするという誓いをなぜ破り、賊だと罵るのだと怒鳴ると、祝彪もだまってはおらず、梁山泊に行く途中だと時遷が白状し、それを助けようとするのは賊とつながっている証拠だと、槍を手に討ちかかっていった。
 話しても無駄だと知った李応は祝彪と槍を交えた。数合渡りあったが祝彪は適わず逃げ出すと、槍を弓に持ちかえ矢を放った。とっさに身をかわした李応だが、矢は肘に当たり落馬。それを見た祝彪は馬を返し李応に襲いかかった。

 楊雄と石秀は李応の身に万が一の事があってはと、朴刀を振り回して徒で祝彪に討ちかかっていき、二人は力を合わせ李応を助けだした。
 杜興は李応を助けなが李家荘に退くのを見て、祝家からは追手が出てきたが日が暮れかけたところで引き返した。
 李家荘に引き上げ、李応の傷の手当てが済むと、楊雄と石秀は時遷が起こした事件から李応を引き込み荘全体を巻き込む大事件に広め、迷惑をかけた事を詫び、梁山泊に救援を求める事にして、李家荘を後にした。

 楊雄と石秀はしばらくして梁山泊の東にある酒屋に入り道を尋ねていると、ただならぬ二人組と知った石勇は店に出て話しかけた。二人が薊州から来たと言うので、以前戴宗から聞いた石秀ではないかと訪ねると、正しく楊雄と石秀であった。すぐに山寨へ知らせを出すと、二人はそれぞれ石勇に挨拶し船で上陸した。
 石秀が訪れた事を聞きつけた戴宗と楊林は鴨嘴灘まで出迎えて、聚義庁へと招いた。頭領一同が集まり、それぞれ挨拶をかわし終えると、晁蓋がここに来たいきさつを聞いた。楊雄と石秀は戴宗と楊林に出会った事から、薊州での坊主と淫婦殺した事を話す。仲間入りしようと旅の途中、祝家店で鶏を奪い祝家荘での事件を引き起こした事を話したところで晁蓋は怒って、楊雄と石秀の首を斬ってしまえと言いだした。

 晁蓋は梁山泊の名を騙り悪事を働いた事に怒りをあらわにしたが、宋江は晁蓋をなだめて、この期に祝家荘を討ち平らげ食料を奪い取り、山寨の用にするために攻めようと言う。また救出する時遷も一芸の持ち主であり、李家荘の李応を仲間に引きこむ目的もあり、呉用も賛成したので、晁蓋は宋江に祝家荘への出陣を許可した。
 宋江は軍政司の任務についた裴宣に出陣の人員を調べさせ十八人の頭領を選び、六千の兵士と六百の騎兵を従え二軍にわけると、晁蓋・呉用・劉唐・阮兄弟・呂方・郭盛、ほかそれぞれの職につき山寨を守備する頭領達見送られ出発した。

 まず荘の様子を探るために石秀と楊林を密偵に出すことにし、二人は変装し少し距離をとって様子を探り始めた。薪売り姿に変装した石秀はうまく荘内にもぐりこみ、鐘離という老人により白楊の木を曲がると外へと出る事かできると聞き、祝家荘の内情を探り出す事に成功したが、山伏に変装した楊林の方は道が入くんでいるので広い道ばかりを選んで歩いているところを不審な行動と怪しまれ、捕らえられてしまった。石秀は楊林か捕らえられたと聞くが、どうする事もできなかった。
 祝家荘では今夜赤い提灯を合図に梁山泊の賊を捕らえるのだと騒いでいた。

 祝家荘入り口で待機していた梁山泊軍、二人が帰ってこないので再び欧鵬を密偵にだした。すると荘内では密偵を捕らえたと騒いでいると聞き、欧鵬は深入りはせず引き返してきた。石秀と楊林が捕らえられたのだと焦る宋江は日が暮れかけようとする中、兵を進めた。
 先鋒を命じられ進んでいった李逵と楊雄だが、祝家荘の門は固く閉ざされ静まりかえり、大声で罵るが討ってこない。宋江は天書の言葉を思い出し、不審に思い兵を退けようとしたとたん、祝家荘から合図が上がり、無数の松明が現れると同時に、雨のように矢が降ってきた。慌てて退却しようとしたが、すでに退路は伏兵にて塞がれていた。


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