
殺された裴如海と胡道人、朝になり死体に気付いた通行人が役所に知らせた。死体は報恩寺の裴如海と胡道人だと分かったものの、不可解な点が多かった。役所では、死体のそばに短剣が落ち、互いに裸で倒れていたために、坊主二人仲違いに起こった殺人として事件を処理した。
驚いた藩巧雲は知らないふりをしていたが、楊雄は石秀がやったのだろうと思い、石秀を探した。楊雄が街を歩いていると石秀が後ろから声をかけた。楊雄は石秀の宿につれて、裴如海と胡道人を殺した事をきき、石秀の言っていた事は正しかったと知ると、二人は打ち合わせをして藩巧雲の口から真相を聞きだす事にした。
楊雄は夢でおつげを聞いたといい、藩巧雲に願解にい行く事を告げた。楊雄は石秀との打ち合わせ通り、準備をととのえ篭を雇うと藩巧雲を乗せ、迎児を連れ添い翠屏山へと向かった。
山腹で篭かきを待たせ、三人は山頂へと登った。藩巧雲はぶつぶついいながらも頂上まで歩くと、そこには石秀がまっていた。石秀に睨みつけられ驚きを隠せない藩巧雲。楊雄は石秀が悪さをするのだと、藩巧雲が言った事をもう一度聞き直すと、石秀は怒鳴りつけて裴如海の着ていた服を見せ、真相を白状するように迫った。まず迎児を脅迫して白状させた。
迎児は寺に行った事から、当直の日に香机を裏門に出し、裴如海がやってきたら迎え入れていた事、胡道人の叩く木魚を合図に送り出していた事、あらいざらい白状した。
迎児が白状したので、藩巧雲も隠す事ができず、裴如海との事をすべて話した。石秀の言っていた事が正しく、藩巧雲に騙されていたと知った楊雄は、腰刀で迎児を殺した。そして、命ごいする藩巧雲に向かって楊雄は生かしてはおけぬと罵りながら殺した。
殺人をおかした楊雄に、もう行き場はない。石秀は、以前張保とやりあった日、梁山泊の戴宗と楊林に会い、路銀をもらい仲間にと誘われた事を話すと、楊雄はとともに梁山泊に身を投じる決意をした。
このとき二人の話しを木の上でこっそり盗み聞きをしていた者がいた。
身軽に木からするりと降りてきた男、名を時遷といい、鼓上蚤と呼ばれているけちなこそ泥で、以前楊雄に救われた事があった。時遷は梁山泊に興味をもち、機会があれば仲間入りしたかったので、楊雄と石秀は相談して時遷をつれてくい事にした。
門前で待っている篭かきの二人は、すでに陽が暮れようとしているが楊雄達が下りてこないので、不審に思い頂上へ登って行った。するとそこには血まみれになった二人の姿があったので、慌てて役所に報告した。楊雄の舅から事情を聞き、楊雄と石秀の犯行だとし、各地へ手配書を貼り出した。
その頃、楊雄と石秀、時遷の三人はすでに遠くに逃亡していた。
三人は薊州を出て数日間旅を続け、梁山泊までもう数里となり、この日鄆
州に入った。高い山を目の前にして、三人は麓の街で宿をとった。中に入ると軒下にはずらり朴刀がかけてあるので、石秀が主人にわけを聞くと、この地は祝奉朝の統治する独龍岡といい、近くの梁山泊とは敵対していていつ争い起こるかわからない。そこでここ祝家店にはすべて番号のうたれた朴刀が置かれていると言う。
部屋に入った三人は身体を休め食事をとる。酒は残っていたが、あにいく肉は売り切れて飯しかなかった。しかたなく酒と飯を食べていた。時遷はいつもの悪い癖がでて、店で飼ってる鶏を盗み、竈で煮て持ってきた。楊雄と石秀は苦笑いしながら鶏を食べたが、しばらくして鶏がいなくなったのに気付いた店の主人は、慌てて部屋に押しかけてきた。
時をつげる大切な鶏がいなくなったと怒鳴り込んで来た主人、盗んで食べてしまった三人はごまかしたが、むしった羽と食べ残りの骨があり、竈には煮た形跡があった。楊雄は金を払うから許せと言うが、主人は鶏を返せと迫ってくるうえ梁山泊の賊として捕らえるぞと叫ぶ。食べてしまった物を返せといい、賊よばわりされた事に腹を立てた石秀はついに暴れ出し、楊雄も怒鳴った。
主人は賊だと叫ぶと、すぐに店にいた五人の男達がやってきたが、楊雄と石秀が次々と打ち倒し、店の主人は時遷に殴られた。逃げ出した男達は賊だ、と大声で叫び仲間を呼ぶと、近くの者達がすぐに武器を手に取り駆け付けてきた。
時遷は店に火をかけ、楊雄と石秀は壁に掛けられた朴刀をとると、外に逃げ出した。大勢に囲まれたが、三人は力を合わせ、必死で朴刀を振り回して道を切り開いた。
しかし暗闇の逃走と、街道の勝手をしらない三人。時遷は草むらから飛び出てきた撓鈎に襲われ、捕らえられてしまった。石秀は時遷を救い出そうとしたが、またも草むらから撓鈎がでてきたので自分の身を守るので精一杯、時遷を助け出す余裕もなく、その場から逃れた。
一晩中逃走し追手を振り切った二人は酒屋に入り、休息をとりつつ捕えられた時遷をどう救い出すかを思案していた。そこへふと一人の男が入ってきた。男は店の主人と仕事の話しをすると出て行ったが、楊雄はその顔に見覚えがあったので話しかけた。
