
清風山を下山した宋江は、清風寨の副知寨を務める花栄の屋敷を尋ねた。花栄は代々宋国に使え生粋の武人、弓の名人で小李広と呼ばれている。
花栄は宋江を義兄と慕い、古くからの付き合いがあり、宋江が殺人を犯して逃亡していると知ると、幾度も宋江の元に手紙を届け、力になりたいと言っていた。
二人は再会を喜び、閻婆惜殺し、梁山泊の事、旅中知り合った好漢の話題で、この夜の宴の話しは尽きなかった。
清風山での出来事で、劉高の妻を助けた話しになると、花栄の表情は少し険しくなる。清風寨の知寨、劉高の評判は悪く、夫人はさらに上をいく悪女で、多くの問題をかかえている事を花栄は語った。宋江は文官・武官の意見の食い違いだろうと花栄をなだめた。その言葉に納得する花栄だが、劉高が赴任して以来、清風寨の守備が乱れつつある危機を感じていた。
暖かいもてなしをうけた宋江は、数日の間、花栄の屋敷に滞在した。
やがて年が明け、宋江は花栄の使用人二人と元宵節の祭りを見に出かけた。ふと通りかかった大通り、立派な屋敷の前で道化師が見せ物をし、見物人を笑わせていた。その派手な芸をみて、大笑いした。
しかし、運の悪い事に、この屋敷は劉高の屋敷で、二階からは劉高の妻が優雅に見物しており、宋江の姿を見つけるなり、清風山の賊の親分だと劉高に知らせた。すぐに十数人の兵が宋江を捕らえに行き、あっと言う間に捕り、劉高の屋敷へと連れこまれた。
逃亡中の身である宋江は花栄の友人で旅商人の張三と名乗り、山賊から夫人を救い出したのだと劉高に弁解した。だが劉高の妻は執拗にある事ない事を告げ口し、山賊の頭に間違いないと、拷問を命じた。
知らせを受けた花栄は、劉高に手紙を届け引渡しを願った。しかし使った偽名がまずく、宋江は張三と名乗り、手紙には劉丈と書いているのを見た劉高は大いに怒って破り捨てた。
手紙は破られたと聞き、花栄は兵を率いて劉高の屋敷へと踏み込んだ。屋敷内人々は花栄の姿を見て大慌て。劉高は屋敷の奥に隠れ震えている。花栄は屋敷を捜索して宋江を救出した。
劉高の妻はすぐに宋江奪回を催促した。劉高の命により兵二百人が集められ、おかかえの教頭二人に指揮させて花栄の屋敷へと向かわせた。
花栄は知らせを受けて屋敷の門を開き、弓を引いて待ち構えている。恐れて中に入れない教頭に対して、扉の門神の槍先を予告通り射る花栄、そして第二の矢も予告した通り兜飾りを射て見せる。
第三の矢を教頭へと狙いをしぼると、教頭は慌て逃げ去った。兵士達も慌てて教頭の後を追い逃げ返った。
宋江は花栄に迷惑がかかる事を恐れ、清風山へ身を隠す決断をした。真夜中を待って、体の痛みをこらえながら暗闇を一人急いたが、文官だけあって悪智恵だけは働く劉高。宋江が清風山へ逃げ帰る事を予測し、兵を伏せて待ち構えていたのだった。
宋江が捕えられた事など知るすべもない花栄は、青州知府の慕容彦達から使者として鎮三山と名高い黄信が訪れた事に少しの疑問を抱かず、謀反人として捕らえられてしまう。宋江の姿を見ては反論もできなかった。
