物語 第二十五回

潘金蓮と毒


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 王婆に売り物の梨を台無しにされ、痛めつけられ怒った鄆哥は西門慶と潘金蓮が密会している事をを武大に告げ口した。
 半信半疑だった武大だが、孝行息子で通っている鄆哥の言う事を信じると、すぐにでも踏み込もうとする。だが、西門慶の強さを知っている鄆哥は武大に、明日力を貸すから一緒に王婆のところに踏み込もうと言う。そこで二人で密会の現場をおさえる計画をたてて別れた。
 そして翌朝、武大は饅頭をいつもより少なく用意し仕事にでかけた。

 潘金蓮はそうとは知らず、武大が出て行ったのを確認すると、裏口から王婆の店へと行き、西門慶の方もこっそりと茶店へと入り、奥の部屋へと入っていった。
 ひと回りして饅頭を売りさばいた武大は鄆哥と待ち合わせし、王婆の店へと行った。まず鄆哥が王婆を引きつけておいて、その隙に武大が中へ潜り込む手はずを整えると、鄆哥は昨日のお返しとばかりに、身体をはって力いっぱい王婆を抑えつけた。
 武大は隙をついて中へ入りこむ。王婆は武大が来た、と大声で叫ぶと奥の二人は大慌て。潘金蓮は扉が開かないように押えつけ、西門慶は寝台の下に潜り込む。

 武大は部屋の扉を押し開けよとしたがビクともしないので、外で罵っているばかり。隠れている西門慶を見た潘金蓮はひごろ自慢している武芸は口だけか、とけしかけた。その言葉を聞き、出てきた西門慶は扉を開けさせると、飛び出して来た武大めがけて足を飛ばした。なにせ五尺たらずの小男、西門慶の蹴りをまともに鳩尾にくらって、顔は青ざめてその場に倒れ動けなくなった。
 西門慶は着物を着込むと外へ逃げた。武大は王婆と潘金蓮にかつがれて家へと運び入れ寝かせる。鄆哥は状況悪しと見、これまたその場を逃れていった。

 その後、寝たきりとなった武大は、数日間食事も薬もろくにあたえてはもらえない。潘金蓮は武大の動けないのをいい事に、堂々と王婆の店へと行き西門慶と楽しみ、夜遅く帰ってくる。
 怒りを堪えきれない武大は、潘金蓮に弟武松の事を口にした。きちんと看病してくれたらこの事は武松には言わないと言う。潘金蓮は武松の事を聞いて思い出したかのように驚き、すぐ王婆と西門慶に相談をもちかける。武松が帰ってきて、武大が真相を打ち明けては一大事だと、始めて武大の弟が虎退治の武松だと聞かされた西門慶の驚き様は大変なものだった。
 そこで王婆から、またひとつの計略。ここは武松が帰って来る前に、武大を亡きものにしようとの事。

 西門慶は生薬屋、毒薬のヒソウが簡単に手にはいる。武大に良薬だといって飲ませて毒殺し、武松が帰ってくる前に火葬してしまえば証拠は残らない。
 早速西門慶はヒソウを届けると、その夜潘金蓮は良く効く薬だといい、今までの事をあやまりながら武大に煎じて飲ませた。すると、とたん武大はもがき苦しみ、つにいは武大は息絶えた。潘金蓮は声を漏らさなぬ様、布団をかぶせ馬乗りになりおさえつけた。手はず通り王婆が応援にかけつけ、うまく病死にみせるように死体を整えた。
 翌朝、西門慶は様子を見に来て、武大の死んだ事を聞くと、あとの事を王婆と相談した。

 王婆の手筈で葬式用具は全て整い、あとは隠亡頭の何九叔が殺人に気付かれず火葬してしまえば良し。そこは金で解決させる西門慶。途中、何九叔を待ち伏せし酒屋に呼びいれ、金を差しだた。一言、武大の検視をよしなに、と西門慶は 言うと、何九叔は西門慶のやり口を知り、また恐れているので金を受け取り返事した。
 西門慶とこれからの検視先、武大の妻との噂話しは耳にしている、そう言う事かとここは納得し金を受け取ると武大の家へ向かった。
 武大の検視をすると、見ればみるほど毒殺の症状が見えてくる。自分の仕事に誇りをもつ何九叔は、わざと毒気にあたったふりをして倒れ、家へと運ばれた。


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