
殺人と聞き、役所では朝から大騒ぎとなった。訴えでた閻婆の証言通り、閻婆惜が殺害されていた。知県は登庁し証言を聞くと、とても宋江の犯した事件とは思えなかった。役所の人々が皆、宋江を慕っていたのだ。
訴えがあったからには放っておけず、捕えた唐牛児を問い詰めた。知事は部下として日頃から親しくしいた宋江をかばってやろうと考え、捕えた唐牛児に、なんとか罪をなすりつけようと拷問を繰り返した。
宋江が閻婆惜を殺して逃亡しようとしていた事なず知らず、宋江を助けようとしただけの唐牛児はがんとして口を割らず、同じ事の繰り返しだった。それでも執拗に唐牛児を問い詰めた。
一方、閻婆惜の恋仲となっていた張文遠は、愛する女が殺された為に、閻婆に入れ知恵をして、なんとか宋江を捕えさせようとした。
しかたなく県知事は宋江を捕える為に捕手を宋江の下宿先、さらには実家の宋家村に向かわせた。しかし、すでに宋江は逃亡しており、行方知れずとなっている。宋江の父も親不幸を訴え、すでに籍を抜いているとの事、書類の写を証拠として、これ幸いと事件をごまかそうとしたが、やりは張文遠が裏から手を回し、証拠をかため、遠婆は強く宋江逮捕を訴えた。
もはや知事にはかばいきれなくなった。
再び宋家村の実家に捕手として向かわされたのが朱仝と雷横。ともに宋江とは親しく付き合いをしている為、どちらも本気で捕える気などない。
宋江の実家に着くと、朱仝は知恵を回し、まず自分は表門を見張り、雷横に家中を探らせた。宋江の姿は無いと知ると、念の為にと、今度は雷横に表門をみはらせ、自ら家内を捜索した。朱仝は宋江との付き合いが深かったので、屋敷内の隠れ場を、万が一の為にと聞かれされた事があった。
案の定、記憶にあった隠れ場には宋江が身を潜めていた。宋江は出てくると朱仝がいたのはびっくりしたが、朱仝と言葉を交し、逃がす為に来た事を知ると安堵し、朱仝から逃げる様にすすめられた。
朱仝と雷横は証拠として書類の写を提出し、すでに宋江は逃亡した事をつけた。そして、朱仝と宋江の父は、ともに上から下へと金を配り、なんとか宋江の罪を軽くするように働きかけた。
賄賂の効き目もあり、張文遠もこれ以上立場が悪くなるのを恐れ、宋江逮捕について強く言う事はできなかった。その後、宋江は懸賞金のおたずね者として、各州に手配書が配られる事となった。
すでに逃亡先をいくつか思案していた宋江は、その夜、ひそかに実家を離れる事にした。これ以上、ここに隠れてはいれまいと。
ただ、父の心配は弟の宋清に罪がかけられる事を恐れ、とともに旅立たせた。別れをおしみつつ、二人は宋村家を去った。宋江の父の身を案じながら。
そして幾日かが過ぎ、宋江と宋清は滄州にたどり着いた。宋江が身をよせる宛として思案したひとつが滄州は横海郡に屋敷をかまえる柴進のところだった。
屋敷の下男に案内され対面を果たす。突然の訪問に驚いた柴進だが、宋江逃亡を一言一言を聞くと、宋江と宋清を暖かく迎かえ入れてくた。互いに面識はないものの、天下の好漢達と深く交わり、その噂だけはいつも耳にしていた宋江と柴進。今日の対面に満面の笑みを浮かべる。そしてその夜、柴進の屋敷での歓迎の宴は言うまでもなく盛大で美酒と豪華な料理を前に、好漢達の話題で賑わいだ。
そんなおり、小用で席を立った宋江が、ある人物にであった。
